熊本県小国町
地元住民が地熱発電所を運営

熊本県の最北端にあり、九州のほぼ真ん中に位置する小国町。町の周辺には、くじゅう連山や阿蘇山など日本を代表する火山群がそびえています。大分県と接する町の東部には温泉旅館が点在する「わいた温泉郷」があり、多くの観光客で賑わっていましたが、近年では町の過疎化、高齢化が問題になり、課題解決に向けた新たな取り組みが求められていました。
2015年6月、新しい産業を導入することによる町の活性化を目的に、地元住民が運営する「わいた地熱発電所」が小国町の一角で運転を開始しました。一般的に温泉地の地熱発電は100℃以下の蒸気や熱水を利用するバイナリー方式が主流ですが、同発電所では130℃の蒸気を使う本格的なフラッシュ方式を採用。これにより高効率の発電が可能で、年間数億円規模の売電収入を得ています。
また、地熱発電で利用している生産井から30軒の家庭及び温泉施設、さらには農業用ガラスハウス2棟へ分湯しています。2棟のガラスハウスでは、パクチーやチャービル、ローズマリーなどの野菜を栽培。若者を中心に人気が高い野菜を生産することで、収益性の高い農業経営を目指しています。