地熱モデル地区とは
地熱資源を上手に活用して 地域を活性化
日本政府が2050年までに温室効果ガスの排出と吸収でネットゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すことを明言する中、有望な再生可能エネルギーの1つとして、地熱資源が注目されています。
日本は世界屈指の火山国であり、世界第3位の地熱資源量を誇る地熱大国です。そのため古くから、地熱による蒸気や熱水、温水がさまざまな用途に利用されてきました。温泉や湯治はもちろん、地熱蒸気を使った蒸し料理が郷土料理になっている地域もあります。近年では地熱発電も活性化していて、その排熱や蒸気の一部を農業用ハウスの暖房に利用することで、冬でもトマトやキュウリ、イチゴなどが栽培でき、地域の大きな収入源となっています。
このように、日本のさまざまな地域で、地熱という国産資源を活かした取り組みが行われ、地域の活性化に貢献しているのです。

地熱を上手に活用する 自治体の取り組みを全国に発信
JOGMECは「エネルギー基本計画」(平成30年7月閣議決定)の方針に基づき、地熱資源を有効活用し、農林水産業や観光などの産業振興に積極的に取り組む地方自治体を「モデル地区」として募集しました。
その結果、全国から応募のあった中から北海道茅部郡森町、岩手県八幡平市、秋田県湯沢市の3つの自治体を選定しました。これらの地区では、地熱資源が農業や特産品の開発、観光業など1次~3次産業まで活用されています。さらに、地熱発電事業者と地域住民、温泉事業者、自然保護団体等との対話の場が設定されており、地域一丸となって地熱資源活用のお手本ともいえるさまざまな取り組みが行われています。
現在、全国では、地元の地熱資源を地域の活性化につなげたいと模索する自治体も少なくありません。そのためJOGMECでは、モデル地区に認定した自治体の模範的な取り組みを全国に広く発信することで、「地域と共生した持続可能な地熱開発」の全国的な進展を支援しています。
地熱モデル地区3自治体認定のポイント
北海道森町・認定ポイント
- 森地熱発電所の還元熱水の一部を熱交換し、トマト・キュウリ等を栽培する温室ハウスで活用
- 地元で生産されたトマト等を使用したご当地グルメ「森らいす」を開発
- 情報交換会の定期開催や新エネビジョンの作成、学生を対象とした新エネ見学会を実施
岩手県八幡平市・認定ポイント
- 松川地熱発電所の蒸気を地熱染めに活用、発電後の熱水を八幡平温泉郷等へ提供
- 地熱開発の検討委員会、理解促進に係る有識者会議の設置や「八幡平市地熱を活かしたまちづくりビジョン」を策定し、市民や事業者の関与を高め地熱エネルギーの活用策を展開
秋田県湯沢市・認定ポイント
- 上の岱地熱発電所に加え、2019年に山葵沢地熱発電所が運転を開始
- 市有泉からの熱水をミツバ等のハウス栽培に活用。また、高校生ならではの視点でドライフルーツ「ミッチェリー」を商品化
- ジオパークガイドの会が地熱や地域の歴史・文化について積極的に発信
- 協議会や各種理解促進活動を展開