地熱モデル地区以外の地熱活用事例

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JOGMECが地熱モデル地区として認定した北海道茅部郡森町、岩手県八幡平市、秋田県湯沢市の3つの自治体以外にも、全国のさまざまな地域で地域活性化に地熱資源が活かされています。
地熱モデル地区以外の地域における地熱資源活用の優れた事例をご紹介します。

北海道弟子屈町

温泉熱を利用したフルーツが特産品に

北海道弟子屈町は行政面積の65%が阿寒摩周国立公園の区域にあり、摩周湖、屈斜路湖、硫黄山などを有する景勝地です。この地域では、古くから温泉観光地として、温泉が観光資源として利用されてきました。また、昭和50年代から温泉給湯や温泉熱を活用した暖房が整備され、日常的に地熱が活用されています。近年では野菜や果物の通年栽培に温泉熱が利用されており、特にマンゴー(摩周湖の夕日)、イチゴ(摩周ルビー)は、町の特産品となっています。
弟子屈町では、地熱資源を活用した地域活性化を加速するため、平成28年に総務省の委託事業を活用した「弟子屈・ジオ・エネルギー事業」マスタープランを策定しました。この計画に沿って、地域主導で地熱資源を活用したサービスを行い、その収益を地域に還元する仕組みづくりを目指しています。
さらに、平成28年度から令和2年度にかけて、町内の湯沼―アトサヌプリ地区においてJOGMEC助成事業を活用した地熱資源量調査を実施。地熱発電の実現性が高いという結果が出ており、今後さらなる地熱資源の活用が期待されています。

摩周湖の夕日

宮城県大崎市

温泉水の余剰熱を利用した
バイナリー発電所の開発

宮城県大崎市の山里に佇む鳴子温泉は、東日本でも有数の豊富な湯量と多様な泉質の源泉で知られている歴史ある温泉郷です。しかし、東日本大震災による被害や、その後の温泉利用者減少などの理由により、廃業あるいは営業再開見通しの立たない旅館・ホテルなどが増えていることが地域の課題となっていました。
鳴子温泉の活性化のため、地元温泉事業者が声を上げ、計画が進められたのが温泉水の余剰熱を利用したマイクロバイナリー発電システムの開発です。2018年8月に、地熱開発事業者と地元温泉事業者の共同事業により、鳴子温泉バイナリー発電所の運転を開始。発電に利用した水は、旅館の給湯・暖房に利用した後、ハウス栽培にも利用され、最終的には温泉に供給されています。
このように豊富な温泉水が効率的に活用されており、今後は更に産業の振興にも寄与することが期待されています。

鳴子温泉バイナリー発電所

福島県福島市

地熱発電所の配湯をエビの養殖に活用

福島県福島市にある土湯温泉。磐梯朝日国立公園内に位置するこの温泉郷では、国内最大の温泉バイナリー地熱発電所が稼働しています。きっかけとなったのが、東日本大震災です。震災による被害と原子力発電所の事故による風評被害が重なり観光客が激減。危機感を募らせた地元の温泉協同組合が主体となって計画が進められ、株式会社元気アップつちゆが2014年8月に土湯温泉バイナリー発電所を起工、翌年11月により運転が開始されました。
現在、この発電設備は年間約300万キロワット時の電力を供給し、安定した売電収入は地域貢献事業にも活用されています。さらに、地熱発電所から排出される温水をエビの養殖に利用することで、光熱費をかけずに低コストで養殖事業を運営。温泉街の一角にエビ釣りができるカフェをオープンし、新たな観光スポットとなっています。
今後は、視察ツアーなども企画されていく計画です。温泉バイナリー地熱発電所を軸に、「再生可能エネルギーといえば土湯温泉」という地域ブランドづくりが進められています。

土湯温泉バイナリー発電所

大分県九重町

地熱発電所が温泉郷の新たな名所に

地熱による発電量全国1位の大分県においても、特に大きな発電量を誇るのが九重町です。日本最大の八丁原発電所をはじめ、滝上発電所、大岳発電所、菅原バイナリー発電所等の地熱発電所を擁しています。
まさに、「地熱発電の町」といえる九重町ですが、古くから温泉郷としても知られています。地熱発電による温泉への影響に関しては、電力会社が地域の代表者の方々の立ち会いの下でモニタリングを行い、湯量や湯質の変化の測定を実施。特に大気環境に関しては、約30年間にわたる試験により住民の理解を得ることで、地元との良好な関係を築いてきました。
現在、地熱資源は観光や農業にも役立てられており、発電所の配湯は温泉の給湯や暖房、ハウス栽培にも利用されています。ご当地名物料理の「極楽温鶏」も、地下から吹きあがる蒸気で鳥を蒸したものです。
さらに、地熱発電の仕組みを学べる八丁原発電所の展示館は、年間約5万人が訪れる観光スポットになっています。

八丁原発電所の見学ツアー

熊本県小国町

地元住民が地熱発電所を運営

熊本県の最北端にあり、九州のほぼ真ん中に位置する小国町。町の周辺には、くじゅう連山や阿蘇山など日本を代表する火山群がそびえています。大分県と接する町の東部には温泉旅館が点在する「わいた温泉郷」があり、多くの観光客で賑わっていましたが、近年では町の過疎化、高齢化が問題になり、課題解決に向けた新たな取り組みが求められていました。
2015年6月、新しい産業を導入することによる町の活性化を目的に、地元住民が運営する「わいた地熱発電所」が小国町の一角で運転を開始しました。一般的に温泉地の地熱発電は100℃以下の蒸気や熱水を利用するバイナリー方式が主流ですが、同発電所では130℃の蒸気を使う本格的なフラッシュ方式を採用。これにより高効率の発電が可能で、年間数億円規模の売電収入を得ています。
また、地熱発電で利用している生産井から30軒の家庭及び温泉施設、さらには農業用ガラスハウス2棟へ分湯しています。2棟のガラスハウスでは、パクチーやチャービル、ローズマリーなどの野菜を栽培。若者を中心に人気が高い野菜を生産することで、収益性の高い農業経営を目指しています。

農業用ガラスハウス